「わしが寿老人。こちらが福禄寿。我らは二人であり、一人である」
「さよう。並の相手なら、この姿見ることも適わぬよ。
仁衛門、己の力量を誇るが良い。もっとも、ここで死ななければ、だがな」
カラカラと笑う福禄寿。
いつの間にか、寿老人は仁衛門の背後に廻り込んでいる。
二人の手には杖が握られている。
「死ね」
同時に叫ぶ。
まるで鏡に写したかのように、全く同時に動く。
仁衛門が両刀を携えていなければ、たちどころに撲殺されて
いたに違いない。だが仁衛門は二人の攻撃の全てを凌いだ。
「ひゃぁ、やはり只者では無いのう…、われらが攻めを見事に
除けよったぞ。なぁ禄寿」
「さよう。だが我等にはまだ取っておきがある。のう、寿老」
二人の口が大きく開いた。
舌がだらり、と垂れる。
先端が見る間に尖っていく。
ぐぐ、っと蛇のように鎌首を上げ、仁衛門目掛けていきなり伸びた。
かろうじて剣で払う。
ぎん、と金属同士が当たる音がした。
次々に舌が襲ってくる。仁衛門の唐剣を上回る柔軟な、
それでいて鋭い舌が徐々に仁衛門の体を切り刻んでいく。
六十三へ
「さよう。並の相手なら、この姿見ることも適わぬよ。
仁衛門、己の力量を誇るが良い。もっとも、ここで死ななければ、だがな」
カラカラと笑う福禄寿。
いつの間にか、寿老人は仁衛門の背後に廻り込んでいる。
二人の手には杖が握られている。
「死ね」
同時に叫ぶ。
まるで鏡に写したかのように、全く同時に動く。
仁衛門が両刀を携えていなければ、たちどころに撲殺されて
いたに違いない。だが仁衛門は二人の攻撃の全てを凌いだ。
「ひゃぁ、やはり只者では無いのう…、われらが攻めを見事に
除けよったぞ。なぁ禄寿」
「さよう。だが我等にはまだ取っておきがある。のう、寿老」
二人の口が大きく開いた。
舌がだらり、と垂れる。
先端が見る間に尖っていく。
ぐぐ、っと蛇のように鎌首を上げ、仁衛門目掛けていきなり伸びた。
かろうじて剣で払う。
ぎん、と金属同士が当たる音がした。
次々に舌が襲ってくる。仁衛門の唐剣を上回る柔軟な、
それでいて鋭い舌が徐々に仁衛門の体を切り刻んでいく。
六十三へ