ため息一つ、机に残し、美穂は誰とも顔を合わせないまま教室から出た。
友達が何人か、声をかけようとしていたようだが、それすらも今の美穂には重い。

思ったよりも学年末テストが良くなかった。
大好きなあの人も、結局他の女の子を選んだ。
明日のバイトもキャンセルになった。
一つ一つは小さい事柄なのだが、固まってしまうとなかなか解せない。

何だか、この世界で只一人きりのような気がする。
何処となく春めいてきた風も、慰めにはならない。
好きな曲も聴く気になれない。
部屋に閉じこもって膝を抱えて目を閉じた。
また一つ、ため息がこほれる。
今度は小さなつぶやきが混じる。

「つまんないな」

その時、メールの着信音が鳴った。
しかも立て続けに五回。
開けてみた。
全部違う相手からだ。
友達五人から、何か画像を送って来たようだ。

「なにこれ」

何かの葉っぱ。
炊飯ジャー。
卵の黄身。
理科室の人体模型。
劇団ひとりの顔のアップ。

「何なのよこれ」

またメール。
『画像を順番通りに並べてね』

順番?
あぁ、隅っこにナンバーが振られてある。

美穂は順番通りに書き出してみた。

黄身
葉っぱ
劇団ひとり
炊飯ジャー
人体模型

「黄身葉っぱ劇団ひとり炊飯ジャー人体模型」

ますます解らない。

またメールだ。
『ヒント・人体模型は内臓が見えます』

「黄身・葉・ひとり・ジャー・内臓」

え。
「きみはひとりじゃないぞう」

美穂は思わずバカ笑いしてしまった。

こいつら、わざわざこの為に画像を集めたんだ。
「きみは ひとりじゃ ないぞうか」

美穂はバカ笑いを保ったままの自分を撮影した。
ありがとうの代わりに笑顔を返信する為に。