「大丈夫?ごめんね」泉美が抱き起こす。

「あたし、確かバンドエイド持ってる」
泉美の手が乱暴にポーチを探る。
風邪薬の箱が開いた。

友香は、バンダナを外し、指先を押さえた。
じわっと滲んでくる。

「…見てっ!みんなっ!」理沙が悲鳴に近い声をあげた。

友香の血が、平らなはずの床面をじわじわと這っていく。
魔方陣に向かって、のろのろと這っていく。
その一端が魔方陣に着いた。

窓も空調も無いはずの部屋に、その瞬間、風が起こった。
風は、麻理の胸元を通り抜け、一枚の羽を毟り取り魔方陣へと
運んだ。
風は、次に理沙の服から猫の爪を持っていく。
キーを三つ飲み込んだ魔方陣から、白い光が伸びた。
その光は、巨大な手の形になり、泉美のポーチを体ごと掴んだ。
悲鳴をあげる泉美を難なく引きずっていく。

「泉美、泉美っ!」
「みんな、助けるのよ早くっ!」
「なによ、離せよこのやろ」

三人で必死に泉美を押さえるが、すでに三つのキーを
飲み込んだ魔方陣の力は強力であった。

抵抗する四人は魔方陣の中に引きずりこまれた。
キーが四つ揃ってしまった。
白い光が一段と輝きを増し、そして、ふっと消えた。
魔方陣は四人を飲み込み、再びゲートを閉じた。

後に残ったのはバンダナだけだった。