「あなた…松岡君?」
一歩近づき、まじまじと松岡の顔を見つめる。

「やっぱり松岡君だ。ははぁ、驚きましたねぇ。あなたが先生とは。
 嬉しいですね」

「室井…先生ですよね。あぁ、そうか御結婚されたのですね」

「そう。君を教えていた頃は、まだ22歳よ。
 今は、こんなおばあちゃんになっちゃったけどね」

そして室井はあの頃と全く変わらぬ笑顔を見せた。
全ての教師に挨拶を済ませ、ゆっくりと全員を見渡す。
「さて、皆さん。わたしは色々な学校で、これだけを
 お願いしてきました」

にこやかに微笑みながら続ける。

「それは、笑顔の力を信じてください、ということです。
 わたしがやってきたのは、実はそれだけなのです。
 ただし、どんな時でも笑顔でいることは、とても辛いことでもあります。
 だからこそ、皆さんに頭を下げてお願いしたい。
 笑顔のプロフェッショナルになってください」


六へ