「ここで待ちなさい」
そう言って、俺の革ジャンを持ったまま、店の奥に姿を消した。
小一時間ほど経ち、ママさんは額に汗をかいて現れた。

「これ着てなさい。危ないところ、危ない人。そんな時は
これを着てなさい」

それ以来、どんな瀬戸際に追い込まれようとも
何故か切り抜けられた。全て、この革ジャンのおかげだと信じている。


さて、久しぶりに俺はママさんに会ってきた。
ちょいと詰まらない相談をしに行ったのだ。
ママさんはしばらく御無沙汰していた俺を咎めることもなく、
ニコリと微笑むと、「言葉の問題だね」そう言い当ててしまった。

「その通りです」
お歳を召されたが、相変わらずの切れ味だ。

そこで俺は、ここ最近、俺のところに現れる
誹謗中傷コメントや、嫁はんの名前を騙った名誉毀損行為に
関して話した。

「はは、そいつ、よほど羨ましいんだ。ありとあらゆる事が
羨ましい。一つ手に入れたら、次にまた羨ましいが現れる。
可哀そうに、キリが無い」

4へ