友人三人と南紀方面へ旅行へ行った時のことである。

「なぁ。なんか嫌な気配しないか」

「あ。乱もかよ?…この旅館、マズいんじゃないかね」

「うーん…従業員の態度も悪いしな。その類のものが出る旅館って、何故だか従業員の態度が悪くなるんだとさ」

「そうなんだ…」

「俺はさっきから、あの床の間の横にある鏡台が気になってさ」


調べてみるか、と一人が立って、鏡台を裏返してみた。

御札がベッタリと貼り付けられてある。

「ああやっぱし」

「いやいやそんなバカな」

「なぁ、俺はあの絵が気になる」

調べてみろとせっつかれて、言い出したそいつが額を裏返した。

なんとそこにも御札がベッタリ。

「なにこれ」

「有り得んっ」

「えぇとだな、俺はそこのクローゼットが気になりましてな」

やめれやめれと言う声を無視して調べてみると、天板に御札がベッタリ。

「囲まれてると」

「ギリギリの予算だから他の旅館は無理だし」

「…しり取りやろう」

「はぁ?」

俺は仲間に説明した。
しり取りは魔除けになるのだ。
ヤツらは延々と続くものが苦手なのだ。
終わりの無いものや図形に、ヤツらは入る事ができない。


「なるほど」

「よし、やろう」

「ではまず俺から。
腹も減ったことだし食べ物でいくか…
きつねうどんっ!」

「あ」

「あ」

「あ」


その途端、鏡台に女の影が現れ、絵がガタガタ揺れ、クローゼットから白い手が。


なんてことは無かったんだけどね(笑

呆れて出なかったんだと思う。