「なんのことだよ。ふざけんじゃねぇよ。俺がやったって
証拠あんのかよ」

「誤魔化しても無駄です。この金属プレートは」
そう言いながら、司書の細い指先が金属プレートを指した。

「紙一枚の重さを量ることが出来るの。あなたが何ページ
切り取ったか、正確に判るわ」

到底、誤魔化せないと知った保岡は開き直った。
「は。それがどうした、あくまでも白ばっくれるぜ、俺は。
現行犯じゃない。状況証拠ってやつだろが」

司書は、見た者が凍りつくような微笑を浮かべると
右手を高く挙げた。
「文字の神トト様。言葉を弄び、辱める者に罰をお与えください」

雪崩のように、次々に本が棚から転げ落ちてくる。
その本の中から、文字が溢れ出した。
有体化した文字は、保岡の体に張り付き、彼を
縛り上げた。
指一本動かすことが出来ない保岡の目の前に、
司書は一冊の本を掲げた。