メイドさんはそう言い残し、ホテルに戻って行った。
途中、少し覗いてみたくなったのだろう、蓋を薄く開けた。

途端に光が庭中に溢れた。
メイドさんは慌てて蓋を閉めた。

再び暗がりが訪れる。

その暗がりの一角だけが明るく光っている。
近づいて見ると、先ほど漏れた灯りが、木々に引っかかっているのだった。

そっと近づき、私は月の光を枝から外してあげた。

月光は、ふるふると辺りを照らしながら天空へと昇り、細い細い上弦の月になった。


あれくらいなら、邪魔にはなるまい。

私も部屋に戻り、娘と共に眠ることにした。

横になり三日月を見つめる。

結局、私は眠れなかった。

上弦の月が、
笑った時の君の目に似ていたからだ。