目が覚めた。

怖い夢を見ていた。

逆立ちしたままの男が追いかけてくるのだ。

男は無言だ。
だが、歯を高速度でカチカチ鳴らしている。

カチカチカチカチカチカチと鳴らしながら男が追いかけてくる。

俺は必死で逃げるのだが、思うように前に進まない。

何故なら、俺の足首を女の細い手が掴んでいるからだ。

赤いマニキュアが剥げかけている指が、足首に食い込んでくる。

見覚えのある手なのだが思い出せない。
というか、このシーンそのものに見覚えがある。


俺は必死で逃げながら、記憶を探った。
思い出した。

寝る前に見た映画だ。

今日が返却期限のヤツだ。

映画の中で主人公は、毎晩、悪夢に襲われる。

逃げる為に彼はどうしたっけ…

確か…そうだ、彼の悪夢は伝染するんだ。
ビデオを見た途端に悪夢が伝染する。

だからビデオを止めようとした…

そこから先が判らない。
そこまで見て、俺はいつの間にか眠っていたらしい…


とにかく止めよう。
リモコンはどこだ、どこだどこだ…


あった!

そして俺はスイッチを押した







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