すまないが、最後の我がままを聞いてくれないか。

一度、ゆっくりと走ってみたかったんだ。

美しい花、小鳥達のさえずり、遠くの山々、青い海。
今まで通り過ぎるだけだった景色に挨拶していきたい。

それだけで満足だ。
ありがとう、今まで乗ってくれた皆。



今、私は交通博物館という所にいる。
車輪は固定され、二度と動かない。
お客様を乗せて走ることもない。

けれどどうだ、
私に触れる人々は皆、笑顔を見せている。
これは何よりの御褒美だな。


私は0系新幹線。

速く、そして美しかったのだ。