「時間が無い?」

「そう。私が手を下さなくても、この国は滅ぶ。皆、死ぬ。あんたもだ。もちろん私も。もう少し爆発させたかったなぁ…でも最後は東京で死にたかった」

唇がV字型に吊り上がる。悪魔じみた笑みだ。

「何を…予知したんだ」
担当官の額から粘った汗が流れている。

「予知したのは一週間前。この国を巨大な地震が襲う。全ての火山や断層を巻き込み、日本はその姿をあっという間に地球上から消す」

「なんでそんな大事なことを」

「言ったら信じたか?」

口ごもった担当官は、もう一つだけ質問をした。


「その地震はいつ起こるんだ」

羽賀は最後の笑みを浮かべた。
まるで慈母のような笑みであった。


「あと五分後」


遠くから、地鳴りが聞こえてきた。