彰のグループは4人。
「良太。おまえ、大丈夫か、いけるか」

「やる。父さんこそ大丈夫?」

「任せとけ。」

彰は苛立ちを隠せない。
「なに、うぜぇことやってんだよ、早くこいよ」

啓吾は振り向くと、そのまますたすたと彰に向かって
歩いていく。

美濃浦が組手でよく使う手だった。
何もせずに、ただ単に真っ直ぐ歩いて来られると、
人は面食らう。
その一瞬の隙を狙うのだ。
歩く姿勢は変えずに最後の一歩だけ膝を高く上げる。
そのまま、相手の下腹部を踏み抜く。
これで一人、倒せた。

何だ。こいつら。道場の組手や、試合に比べたら
まるで子供じゃないか。

啓吾は気付いた。
子供なんだ。そうか、こいつらまだ子供なんだ。
精一杯、虚勢を張って、仲間が居るときだけ居丈高になる。

踏み抜いた足を戻しざま、後ろに蹴り上げた。
もう一人の鳩尾に踵が刺さった。
残りの一人に向かい、右足をドン、と踏み鳴らす。
それだけで、ヒィと悲鳴をあげ、逃げていった。

赤井が笑う。
「さすが関西大会優勝。おまえらじゃ相手にならねぇよ」