「毎晩毎晩、夢を見たんです。何か黒くて長い物が体に入ってくるの」

美智恵は、夜毎の夢にうなされ、毎日をぼんやりと過ごすしか無かったと言った。

「あの部屋のせい。早く出なさい」

ママさんに言われメンバー全員が、しっかりと頷く。

一晩をママさんの店で過ごし、翌日早速、不動産屋に向かった。

不動産屋は、意外とあっさり引き下がった。
市内の一等地にある物件の為、借り主には事欠かないのだと言う。

「一応、マンションのオーナーさんにも挨拶しといてもらえますか。
丁度今、隣の部屋にいらっしゃいますから」

「はぁ…」

渋々ながら、美智恵とケンちゃんが挨拶に向かった。

そこに居たのは、黒い服を着た年齢不詳の人物である。
髪を後ろに撫でつけ、ゆったりと椅子に座っている。

「すいません。こいつ、急に里帰りしなきゃならなくなって、今日で部屋を出たいのですが」

「ああ、それは残念」

そう言って唇の端をキュッと上げて微笑みながら立ち上がった。

その拍子に、胸元でペンダントが揺れた。

それは一番下の角が欠けた六芒星だった。

ママさんの店に戻った二人が、その事を言うと、ママさんはメンバー全員にナイフを渡した。