「あら、晃くん。お姉ちゃんの忘れ物届けに来てくれたの?」

晃くんは先生に敬礼した。

「はっ!よろしくおねがいします」
と胸を張る。

「わかりましたっ!」
と先生も答礼する。

(いい先生だわ)

ほのぼのとした気持ちになりながら、靖子は声をかけた。

「晃」

わざと怖い顔で立つ。

「一人で出ちゃダメでしょ!」

さっきまでの晃くんの得意気な顔が、たちまちクシャクシャに歪んだ。

泣きそうになるのを懸命に堪えているようだ。

その頭を靖子が優しく撫でた。

「でも、お姉ちゃんを助けたことは素敵よ。やるわね、晃隊員」

せっかく我慢したのに晃くんは泣き出してしまった。

今になって怖くなったのだろう。

涙を拭いてあげながら、靖子が言った。

「晃隊員、基地に帰還せよ!」


「きかんてなぁに?」


靖子は優しく微笑んだ。

「おうちに帰りましょっていうことよ」

こうして、晃くんの『お姉ちゃん救出作戦』は大成功に終わった。


ちなみに、報酬はお母さん手作りのホットケーキであった。