怖い話を書くに際し、俺が最も大切にしているのは状況描写である。

昔々あるところに、なんかこうぬめぬめした幽霊的なものがでました。

これでは石を投げられる。

だからと言って、

京都市北区上賀茂町字下鴨八十二番地へノ七にて、名前は権田原クマ(仮名・十九歳)の幽霊が現れ人心を惑わした。

犬をけしかけられる。

できる限りの情報を提供しつつ、引き算の文章で余韻を残すのが俺のやり方だ。


人により怖いものは異なるが、文章の方は大抵の場合、この方法で間に合う。


問題はネタである。

怖いものは何ですかと訊かれたら、これを読んでいる貴方はどう答えますか?

例えば、廃墟に入ったとしてー

どんよりと澱んだ空気がまずは怖いのが普通。

でも中には

入った途端、南アルプスを想わせる爽やかな空気が満ちていたとしたら、それはそれで怖いかもしれない。

或いは、廃墟と化した中華料理店なのにめちゃくちゃ美味そうな匂いが漂ってきたら。


ちなみに、俺が一番怖いと思うのは…





企業秘密(笑