満開の桜には生憎の雨になった。

昼休みに、雨に濡れる桜をぼんやり見ていると、顔見知りの爺ちゃんが通りかかった。


あ、こんちわ。

「お。毎度」

生憎の雨っすね

「なにがいな」

いや、桜がね。散っちゃうですよ

「そやなぁ。
しやけどな、桜は雨を嫌がらへんよ。
ただ黙って受け入れて見事に咲くだけや。
花は桜木、人は武士やな」


そう言い残し、爺ちゃんはニッカリ笑って立ち去った。




……深い。
深いなぁ、この爺ちゃん。

そやな、雨も風も太陽も、どれ一つ欠けても桜は咲かないよな。