犠牲者の数は着実に増えていったのだが、
杉山以外の遺体が発見されない。
警察も連続した事件とは思ってもいない。
行方不明としてあげられる者は、まだましであった。


杉山は、このところ毎日のようにマンションへ向かう。
ベランダにとまり、家族の様子を見るだけで幸せなのだ。

そんなカラスの姿に、美鈴も何時しか心を動かされ始めた。
いきなりの夫の死で打ちひしがれた気持ちが
生き物を相手にする事で癒され始めたのかもしれない。
いつしか、美鈴はベランダに餌を置く様になった。
真也が喜んでいることも後押しした。

「カー吉っていうのが名前なんですよ。
センスないと思いませんか?」

杉山はまた、つくね家の屋根の上で無駄話をしている。
このところ、毎日のようにやって来ていた。
すっかりイブと打ち解けている。
イブも、杉山の前向きな生き方が気に入っていた。

「だったら何て名前がいいんです?」

「うーん…カラちゃん」

「あなたの方がひどい」
のんきに笑う。

「ところで。」
イブが本題に入った。

十三へ