「いやね、最近まで新宿で働いてたんだがね。
駅の掲示板ってやつさ。いろんな人間が
いろんなこと書いたなぁ…XYZとかね」
ははぁ。ご苦労されたんですね。
「うん、地味なキャラだったからね、何とかして
一旗あげようと思った。駄目だったねぇ…
構造疑惑に巻き込まれちゃってね。
今はこの町で左官の下請けだ」
私には、それ以上かける言葉が見つからず、
とりあえず一緒に呑んだ。
別れ際、記念にと言って彼は私の名前を
自らの体に書いてくれた。
これだけは消さないよ、そう言ってくれた。
この旅はこれで充分だ、私は彼と握手して別れた。
二週間後、彼から手紙が来た。
『どうも、ぬりかべです。今、私は日本にはいません。
西アフリカ・マリ共和国、バンディアガラ地方の村に
います。
この地方は、教室もなく、文字を学ぶ機会の無い
子供達で一杯です。
私はここで、黒板として子供達の為に頑張ってます。
白い私が、黒板というのもおかしな話ですが(笑)
では。日本の友、つくねさんへ。 ぬりかべ』
添えられた写真には、沢山の子供達に囲まれて
にこやかに微笑むぬりかべが写っている。
ぬりかべの片隅に、まだ私のサインが残っていた。
二ヵ月後、また手紙が着いた。
バンディアガラからだが、彼の筆跡ではない。
差出人は、バンディアガラの村長であった。
日本語で書かれてある。
よほど勉強したのだろう、美しい筆跡であった。
『ヌリカベさんは、反政府軍の攻撃から
子供達を守るために盾になりました。
たくさんの銃弾を浴び、それでも最後まで
子供達に傷一つ負わせず、立ち続けて
いました。彼の最後の言葉をお届けします。
もう一度、あの海で一緒に酒を飲みたかった』
あぁ、そうか。
ぬりかべの強さは、その優しさなんだ。
あの小さい目を思い出しながら
私はその夜、珍しく悪酔いしたのだった。
駅の掲示板ってやつさ。いろんな人間が
いろんなこと書いたなぁ…XYZとかね」
ははぁ。ご苦労されたんですね。
「うん、地味なキャラだったからね、何とかして
一旗あげようと思った。駄目だったねぇ…
構造疑惑に巻き込まれちゃってね。
今はこの町で左官の下請けだ」
私には、それ以上かける言葉が見つからず、
とりあえず一緒に呑んだ。
別れ際、記念にと言って彼は私の名前を
自らの体に書いてくれた。
これだけは消さないよ、そう言ってくれた。
この旅はこれで充分だ、私は彼と握手して別れた。
二週間後、彼から手紙が来た。
『どうも、ぬりかべです。今、私は日本にはいません。
西アフリカ・マリ共和国、バンディアガラ地方の村に
います。
この地方は、教室もなく、文字を学ぶ機会の無い
子供達で一杯です。
私はここで、黒板として子供達の為に頑張ってます。
白い私が、黒板というのもおかしな話ですが(笑)
では。日本の友、つくねさんへ。 ぬりかべ』
添えられた写真には、沢山の子供達に囲まれて
にこやかに微笑むぬりかべが写っている。
ぬりかべの片隅に、まだ私のサインが残っていた。
二ヵ月後、また手紙が着いた。
バンディアガラからだが、彼の筆跡ではない。
差出人は、バンディアガラの村長であった。
日本語で書かれてある。
よほど勉強したのだろう、美しい筆跡であった。
『ヌリカベさんは、反政府軍の攻撃から
子供達を守るために盾になりました。
たくさんの銃弾を浴び、それでも最後まで
子供達に傷一つ負わせず、立ち続けて
いました。彼の最後の言葉をお届けします。
もう一度、あの海で一緒に酒を飲みたかった』
あぁ、そうか。
ぬりかべの強さは、その優しさなんだ。
あの小さい目を思い出しながら
私はその夜、珍しく悪酔いしたのだった。