西沢第二高校37期生同窓会。
何年ぶりかに行われる同窓会場に林田利樹は居た。
会場は学校のすぐ近くにある飲み屋である。
高学生当時は全く縁が無い場所であった。

何十年ぶりかに会うクラスメートは、皆いいおっさんと
おばはんである。
担任の中野先生は既に70歳近いはずなのだが、いまだに
当時の面影そのままであった。

ほとんど全員が出席したのだが、林田は少し
物足りないものを感じていた。
あの当時、彼が密かに憧れていた斉藤真由加の姿が見えない。

皆で散々馬鹿話をした後、誰言うともなくタイムカプセルの話になった。
幸い、学校は近くだ。気の早い者は、店を出て歩き始めている。

用務員室でスコップを借りて、目印の桜の木の下を掘り始めた。
二学期のクラス会議で、その木を選んだのは伝説があったからだ。
どんなに遠く離れた恋人でも、その桜の木に名前を刻めば、
必ず一緒になれるのだという。
伝説にちなんでタイムカプセルの場所は決められたのだ。

20分ほど経った頃だろうか、スコップがカツン、と金属音を立てた。
タイムカプセルと言っても、金物屋で購入した金属製の米びつである。
それが立てた音だった。

キッチリと目張りをしていた成果があったようで、中身は
少しも傷んでいない。