「ふぅん…で、ご主人様には逢えたのかい?」
老犬の顔が悲しみに包まれた。
「それがのう…一足違いでの。
ご主人様は東京とかいう所で働くことになったらしいんじゃ。
ご主人様のお母さんが泣きながら教えてくれたんじゃがの。
だからわしは、東京へ向かう旅の途中なんじゃよ」
黒猫は、目の前の老犬が何故こんなにぼろぼろなのか判った。
「頑張ってここまで来たがのぅ…残念じゃ、何やら体が弱って歩けんくなってしもうた。
村でな、輝く葉っぱの話を聞いての、菩提樹さまにお願いしようと思うてな」
そこまで話すと老犬は疲れてしまったのか、前足に顎を乗せて眠ってしまった。
黒猫は祭に戻るのも忘れ、その姿を見守った。
もうすぐ月が真上に昇る。
黒猫は、優しくそっと老犬を起こした。
「じっちゃん…もうすぐ月が昇るよ」
老犬は荒い息を吐いて、目をうっすらと開けた。
「…お、おぉそうか…」
祭の明かりが落とされていく。
一応、皆、祭の約束は守るのだ。
満月が昇る前に全ての明かりを消す。
そして菩提樹をじっと見守るのだが、皆、マタタビ酒に酔ってそれどころではなかった。
菩提樹の下に居るのは老犬と黒猫だけである。
最終へ
老犬の顔が悲しみに包まれた。
「それがのう…一足違いでの。
ご主人様は東京とかいう所で働くことになったらしいんじゃ。
ご主人様のお母さんが泣きながら教えてくれたんじゃがの。
だからわしは、東京へ向かう旅の途中なんじゃよ」
黒猫は、目の前の老犬が何故こんなにぼろぼろなのか判った。
「頑張ってここまで来たがのぅ…残念じゃ、何やら体が弱って歩けんくなってしもうた。
村でな、輝く葉っぱの話を聞いての、菩提樹さまにお願いしようと思うてな」
そこまで話すと老犬は疲れてしまったのか、前足に顎を乗せて眠ってしまった。
黒猫は祭に戻るのも忘れ、その姿を見守った。
もうすぐ月が真上に昇る。
黒猫は、優しくそっと老犬を起こした。
「じっちゃん…もうすぐ月が昇るよ」
老犬は荒い息を吐いて、目をうっすらと開けた。
「…お、おぉそうか…」
祭の明かりが落とされていく。
一応、皆、祭の約束は守るのだ。
満月が昇る前に全ての明かりを消す。
そして菩提樹をじっと見守るのだが、皆、マタタビ酒に酔ってそれどころではなかった。
菩提樹の下に居るのは老犬と黒猫だけである。
最終へ