「先生が、そんなことを…」

まめ太は俯いたまま、顔を上げようとしない。

「あの…どうしたんですか?まめ太さん」

心配そうな木霊の前で、まめ太は慌ててヒゲの手入れを始めた。
こうすれば、涙も一緒に拭えるからだ。

「いや、大丈夫。ちょっと長旅でヒゲがくたびれてね。ところでさ、君達、さっき気になる事を言ってたね。
あいつらの仲間って何?」

木霊たちは、頭を寄せ集めて、何事か早口で相談を始めた。

しばらくして、一匹がまめ太に話し始めた。

「人間の事はよく解らないのですが、この森は、こくてー公園とかで守られてるから大丈夫らしいです」

「うん」
まめ太の尻尾がふるふると動いている。
興味津々な時に出る癖だ。

「でも、それでも構わずに森を荒らそうとする人間が居る。
この森に湧き出る泉の水を売るそうです。
ぽんぷとかいう機械で、どんどん汲み上げてやるって言ってます。
そんなことされたら、守り樹様が枯れてしまう」

なんだ、そんなことかとまめ太は微笑んだ。
「君達の仲間には熊も居るんでしょ?
脅かせばいい」

「駄目なんです。やつら、鉄砲を持っている」

「…じゃあ君達が驚かせば」