驚く麻理の目の前で、志郎は持っていた毛布に足を取られ
派手に素ッ転んだ。
「ああやっぱり」

「あいたたたた。なんだ一体!あ。麻理ちゃんだ」

寝ぼけていただけなのだろうか。
半覚醒状態で強くなるタイプなのだろうか。
そんなのが居るとしてだが。
それとも、酔拳ならぬ催眠拳とか。
考えあぐねた麻理は、大事なことを思い出した。
「志郎くん。耳かして」

「二泊三日で500円頂戴します」

「…グーがいいかパーがいいかチョキがいいか」

「なんのこと?」

「殴るかビンタか目潰しか、って訊いてんのよ」

ごめんなさいごめんなさい、ほんのちょっとしたお茶目です、
と必死で言い訳しつつ、志郎は形の良い耳を差し出した。

「いい、よぉく聞いて。あの主、ドラキュラ確定よ。今すぐ逃げ出すからね」

「確定?誰がどうやって」

「説明してる暇はない。行くのか行かないのか。
あんたがどっちを選んでも、あたしゃ別に構わないけどね」

「行きます。ご一緒させてください」