「我々は都市伝説実証隊だ。
今日も私心と私身を捨て、世の蒙昧と闘い、これを正す!
いいな、おまえら」

「はいっ!隊長!」

都市伝説実証隊とは、いまだに世に蔓延る都市伝説が、いかに根も葉もない出鱈目であるか実証し、満天に知らしめる組織である。

今まさに、樹林隊長以下二名が現場に向かおうとしている。

「今日はまずこれだ!
『本屋に行くとトイレに行きたくなる』!」

「隊長、そ、それは余りに厳しい闘いです」

「馬鹿者っ!我々がこれを実証せねば、いつまでも被害者は増えるばかりなのだぞっ!」

「はぁぅっ!す、すいませんしたぁっ!」

「判れば良い。
いざ行かんっ!本屋へ」
黒いスーツに身を固めた都市伝説実証隊、略して都伝隊は、一路本屋へと向かった。

「準備はいいな?」

「はいっ!」

一同が揃って武者震いをする。
樹林を先頭に、足を踏み入れた。
店内は何かのイベント中であるようだ。

かなり混雑しているが、調査の妨げにはならない。

「各自、五分ごとに点検報告!散っ!」

「はっ!」

樹林は、最も困難なコーナーであるアイドル写真集の棚に向かった。

最近の彼のお気に入りは沢尻エンリカだ。
手に取って、しばらく眺めているうち、トイレに行きたくなってきた。

「ぬぅ…恐るべし!」

一旦、外に出てデパートのトイレに向かう樹林。
なんと、他の隊員も全員来ている。

「た、隊長もですかっ!」

「お前たちもか…これは何か、とんでもない事態が起こっているに違いないな」

考え込む樹林に縄谷隊員が言った。

「もしかすると地磁気の乱れとヨハネの黙示録に関連しているのかも」

「な、なんだってぇ!」
樹林の顔色が変わる。

「それと隊長、沢尻エンリカちゃんがサイン会するみたいっすよ。
ポスター貼ってました」

「ぬわんだっとぇぇっ!」

樹林の顔色が更に変わった。

数時間後。

疲れきった都伝隊一行が本屋から出てきた。
けれどその顔は、達成感に満ち溢れている。


「しっかし可愛いよなぁ…エンリカちゃん」

「えぇ、素敵っすね」


全員が沢尻エンリカのサイン付き写真集を大切に抱きしめている。

どうやら無事、調査は終了したようだ。

がんばれ我らの都伝隊!
行け行け我らの都伝隊!