「のっぺらぼうと一反木綿か。訊いてどうする、芹沢さん」
土方が低く身構えながら、じりじりと爪先でにじり寄って行く。
己の間合いに入った途端、抜き打つつもりだ。

「ほほう、土方よ、俺とやるつもりか。あの頃の俺とは違うぞ。
死に急ぐ事もあるまいに」

「死に急ぐも急がぬも、元より我等は命を捨てている」
尚も近づいて行く土方。
あと、半歩入れば、すなわちそこが土方の間合いである。
実戦で鍛えられた抜き打ちが芹沢を襲う。

「待ってください、土方さん」
沖田が土方に向かい、低く搾り出すように言った。
有無を言わせぬ口調である。

「何だ、沖田。邪魔立て無用」
芹沢から目を離さず、土方が叫ぶ。

「芹沢さん。あんた、何をするつもりですか。教えてください。
場合に拠っては俺はあんたに付く」

「ば、ばかな事を」

「黙っててくれませんか、土方さん。俺は純粋に興味があるんです。
なぁ、聞かせてくれ。あんた達は何をするつもりだ」

芹沢の唇が鋭角に吊り上がった。
笑い声はその後で聞こえてきた。

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