優一は、三人の写真を眺め、愕然とした。
ジャンゴ・ラインハルトの左手には指が二本無い。
トニー・アイオミは右手の指二本が無い。
李喜芽に至っては、両手の指が二本ずつしかないのだ。

「彼女な、先天性の障害で両手の指が2本ずつしかないんだとさ。
それと、ひざから下の脚も無い。なんでも、指の力を鍛えるために
5歳からピアノを習ってるそうだ。毎日、10時間練習し続けてきた。
だがな、どの先生もこれは無理だと諦めたそうだ。
で、母親はどうしたと思う?まず、自分がピアノを習ったんだよ。
そして彼女に教えたんだ」

優一は黙り込んだまま、李喜芽の演奏を聴き続けている。

「だからお前も頑張れ、とは俺は言わない。言えるわけが無い。
人それぞれだからな。
才能だって、人それぞれだ。どう頑張っても出来ない奴もいるさ、
ちょうど俺みたいにな」
吾郎は自虐的に微笑むと言葉を続けた。

「これからどうするかは、おまえの好きにしろ。
そうだ、最後に一つ教えてやるよ。
李喜芽の言葉だ。これだけは覚えておくといい。

『あれが無い、これが無いというより、今あるものを
発達させていくことが重要だ』

俺もそう思う。じゃあな」