中島らも氏は、不味い飯を食す度、面白がっておられたそうだ。
画一的な考え方を嫌う、氏ならではの発想だろう。

私は、根っからの食いしん坊の為、良い意味でそこまで酔狂な真似はできない。

何よりその気まずい雰囲気に居合わせるのが堪らないのだ。

気まずい雰囲気と書いたが、私は実にこの気まずい雰囲気とやらに弱い。

例えば、ラストオーダーが終了した居酒屋で、
一番最後の客になった時。
周りでは、店員たちが灰皿や食器の片付けを始めている、そんな状況。
すいませんすいません、
さぞやお疲れでございましょう、今すぐ飲みます食いますウグウグウグ的人間になってしまう。


或いは、今ではやらなくなったが、パチンコ屋で閉店の『蛍の光』が流れ始めた瞬間、777と揃ったりする。
ああっ、なんで今更揃うのだ、散々使わせておいて最後の最後の一球で入魂するとは貴様甲子園を目指す台か、しかも確変じゃないか、この店は玉のキープが出来ぬのだ。ワナワナワナ。

或いはまた、今でも思い出しては赤面するのだが、初めての彼女とのデートで行った映画館、隣りに座る彼女の体温が呼吸が指先が私に延髄切りを喰らわせる中、始まった映画は『エマニエル夫人』。

あぁしまった、地方の映画館はこれだから嫌なのだ、彼女に何と思われただろうか、二本立てならジャンルを合わせたらどうなんだ、それにしてもシルビア・クリステルは綺麗だな。的な状況が苦手で苦手で、どうしようも無い。


そんな私が、自虐的に行ってみたいイベントが有る。

幕張メッセで行われる吉本の巨大お笑いライブ、『LIVE STAND 07』である。
吉本興行のタレントが100組以上も出演し、三日間に渡ってお笑いライブを繰り広げるというイベントである。

全て立ち見。
イス、座り込み禁止。
1日券が八千円。
こりゃ高いし、しんどい。

そのせいか、先行発売初日、チケットぴあでは、たった二枚しか売れなかったらしい。

各地から出発する筈のバスツアーも全て中止。


ここに行ったら、物凄いいたたまれなさを感じることが出来そうな。


多分、私は失神する。