「せっかくだから、一つ蹴ってみますか」
美濃浦が、何か四角い枕のようなものを持ってきた。
「これはキックミットと言って、こうやって両手にはめるんです」
テレビで見たことのある物だった。
「そしてこれに向かって蹴りこむ。やってみますか」
啓吾は、構えられたキックミットに向かって、右足を蹴り上げた。
ぺし。
何とも情けない音がした。
「もう少し、膝を上げて。体の中心線よりも入り込む位置まで膝を入れて。
その勢いで膝から先を開放する」
言われた通りのイメージで蹴り込む。
パシッ!
音が違う。
「あ、今のいいですね、もう一度」
結局、啓吾は1時間あまりも汗を流してしまった。
帰りの駅の階段が上れない。膝がガクガクする。
久しぶりに動かした体が悲鳴をあげているのだ。
けれど、啓吾はそのことが何か嬉しかった。
少なくとも、汗を流している間は、イヤな事を全て忘れる事ができた。
あいかわらず、良太は部屋に閉じこもったままだ。
啓吾は、香織と一言も会話の無いまま、入浴し、食事をした。
美濃浦が、何か四角い枕のようなものを持ってきた。
「これはキックミットと言って、こうやって両手にはめるんです」
テレビで見たことのある物だった。
「そしてこれに向かって蹴りこむ。やってみますか」
啓吾は、構えられたキックミットに向かって、右足を蹴り上げた。
ぺし。
何とも情けない音がした。
「もう少し、膝を上げて。体の中心線よりも入り込む位置まで膝を入れて。
その勢いで膝から先を開放する」
言われた通りのイメージで蹴り込む。
パシッ!
音が違う。
「あ、今のいいですね、もう一度」
結局、啓吾は1時間あまりも汗を流してしまった。
帰りの駅の階段が上れない。膝がガクガクする。
久しぶりに動かした体が悲鳴をあげているのだ。
けれど、啓吾はそのことが何か嬉しかった。
少なくとも、汗を流している間は、イヤな事を全て忘れる事ができた。
あいかわらず、良太は部屋に閉じこもったままだ。
啓吾は、香織と一言も会話の無いまま、入浴し、食事をした。