ニ人が一斉に見つめる。
「…誰からだ。やつか」

北村が笑った。
「この着信音は陽子さんすよ」

ほっと、息をついた伊藤が携帯を奪う。
「陽子ちゃんか?メール見たよ」

「いつもお世話になってます。真田加奈子の夫です」
あの男であった。

「てめ、何でそこにいる!」
途端に電話が切れた。

「あいつだ。陽子のところにいる」
北村が慌てて部屋を飛び出して行った。


またかかってきた。
「あんた達、ひどいな。僕の加奈子を隠して」

「てめぇ、あれだろ。真田隆之だろ。加奈子を
隠したとか言ってんじゃねぇよ、おめぇ、
女房殺してバラバラにしたんだろうが!
警察に電話するぞ、こら」

抑揚の無い声で男が答えた。
「バラバラにしたのに死んでないじゃないか。
毎日ブログとやらに書いてるじゃないか。
殺したのに生き返るなんて本当にしつこい女だ。」

携帯を握る伊藤の手が汗ばんできた。
「人の話聞けよ、てめぇ!てめぇこそ、しつっけぇんだよ、
あれは俺らが書いてんだ。
出会い系サイトなの、うちらは!てめぇが殺した
女の画像をたまたま使っただけだよ!」

「今からそっち行くから。場所はこの女に聞いたから」
最後まで男の声は妙に落ち着いていた。

プツッ。ツーツーツー
「くそ。切りやがった。何だってんだよ!」