優一は唇を噛みしめて、吾郎の後姿を見送った。
悔しいけれど、言い返せない。
図星だから悔しいことも判っている。
もらったMDをもう一度最初から聴き返した。

吾郎が言った通り、他人が頑張ったから自分も頑張れるとは
思えない。それほど単純なことじゃない、とも思う。
明日からまた、苛められる毎日が始まるのに違いない。

ただ、このまま部屋に居るのが嫌になった。
頑張れるかどうかもまだ、試してないのに、
こうやって寝てばかりいるのが嫌になったのだ。

ただそれだけの事だ。

優一は立ち上がり、服を着た。
部屋の扉を開け、台所に向かって言った。

「かあさん。腹減った」

優一が考えた最初の一歩。
それは、部屋を出て飯を食う事だった。