2007年6月。日本の
宇宙航空研究開発機構
通称・JAXA内部は
異様なざわめきに
満ちていた。

今日、『はやぶさ』が
帰ってくる。

2005年11月に小惑星
イトカワで岩石の採集
に成功し、約2億kmの
旅路を越え、帰って
くるのだ。


本田教授を始めとした
教授陣は、まるで
息子が帰ってくる
ような感慨を禁じ
得なかった。

「はじめてのお使い
って番組知ってるか?」

本田教授が取り巻きに
話しかけた。

正に、彼にとって、
『はやぶさ』は初めて
のお使いから帰って
来る息子だった。


「見えたっ!」

全員が見守る前で、
はやぶさは無事、着地
に成功した。


本田教授が自らの手で
カプセルを開ける。

岩石が入っていなければ失敗だ。


「…あった!あったぞ」


歓声が辺りを包む。

「いや?待て待て。
何か模様がある…」

その模様は、
『ハズレ』と読めた。


「初めてのお使い
失敗かよっ!」