「でも」

「いいから帰れよ」

「判ったわ。でも、どれか一つ食べてよ。きっと満足するはずよ」

これ以上、議論を続ける気は無い。
俺は穏やかに眠りたいだけなのだ。

仕方ない、いつもの手を使うしか無い。

手近にあった花瓶を高々と差し上げ、女の頭に叩きつけた。

何度も何度も叩きつける。

血みどろの顔を歪め、女は横たわった。

やれやれ、これで静かに眠れる。


翌朝。
台所から鼻歌が聞こえてきた。

あいつだ。

「おはよー。朝ご飯できてるよ」

振り向いたその笑顔は血にまみれ、割れた頭からはピンク色の脳漿が見えている。

殺しても殺しても、こいつはまた現れる。

血みどろになり、ぼろぼろになりながらも、こいつは毎日現れるのだ。

そのたび俺は、こいつを殺してきた。

それも今日で終わりにしよう。
もう疲れた。

俺は鴨居に縄を巻き付け、首を入れた。

後は勝手にやれば良い。好きなだけ飯を作れよ。
さよならだ。


俺の体がブランコのように揺れた。