風師が放った台風は、雨雲を呼びました。
凄まじい勢いで町を飲み込み、
木を倒し、川を溢れさせ、山を崩していきます。

「なんだか…怖いな」

風太は、南の窓から離れ、西の窓に向かいました。

西の窓から見えたのは、砂漠でした。
砂漠の丘に立つ風師は、砂嵐を放ちました。
轟々と鳴り響く砂嵐が町を飲み込んでいきます。
人々の悲鳴が聞こえてきました。

風太は西の窓から離れ、東の窓に向かいます。
東の窓からは、都会が見えました。
ビルの上に立つ風師は、強いビル風を放ちました。
たちまち人々は襟首をあわせます。

「母さんの風なら、すごく暖かいのに」
風太は少し、考え込みました。

大きな風って…なんだか怖いな。
七へ