「いい?聞いて。この病院で死んだ人の遺体は異常に軽い。」

「なにそれ」

「院長が、まだ息のある患者から臓器を盗んで殺したから。
臓器売買で巨万の富を得たのよ」

沈黙が部屋を覆った。
いいぞ。ダメ押ししてやろう。
ゴスロリを馬鹿にすると、こういう目に遭うのだ。
麻理は調子に乗った。

「この魔方陣。これが決め手ね。」
麻理があらためて皆の注意を魔方陣に向けた。

「そうよ、これ何なの?」
気丈な友香ですら、怯えている。

「これが院長の秘密ね。院長は悪魔と契約してたのよ。
そのための魔方陣がこれ。…ちょっと呼び出してみようか」

「や、やめなさいよ」

「そうよ、んなもんと契約したくないわよ」
慌てる泉美と理沙。

「麻理。いい加減にしなさいよ」
友香の声が冷静になってきた。

麻理は友香の声に少しだけムカついた。
「ふっふっふ。そうはいかない。悪魔っての
一度見たかったのよ。いくわよ、いい?」

とは言え、呪文など知るはずが無い。
うろ覚えの呪文を適当に唱えた。
水木しげるの漫画で覚えたやつだ。

「エロイムエッサイム。我は求め訴えたり。
エロイムエッサイム。悪魔よ、我の元に来たりて
我が願い叶えたまえ。」

ほんの少し残響を残して、部屋が静かになった。