俺はもう少しじっくりと眺めてみた。
心なしか、風を切るような音がする。
イヤフォンを外して、耳を澄ませた。
木枯らしに似た、ヒィィィィという音が聴こえた。
俺は左目の視力がやたらと良い。
(遠視なのだ。老眼かもしれない笑)
その目で見ても解らない。
何かの黒い物体という事は解るのだが、それが何か解らない。
遠くだし、暗いし、何よりもその『何か』が速すぎる。
が、一瞬だけ、そいつのスピードが落ちた。
やっと正体が判った。
それは、生首だった。
男か女かは解らない。
長い髪を後方になびかせ、口を大きく開けたまま、生首は再び速度を上げた。
ヒィィィィという音は、その口から出ている。
何かを探し回っているようだ。
このまま見つめているとヤバい、絶対的に不味い。
50m先に聞こえるとは思えないが、俺はなるべくゆっくりと静かに自転車を走らせ始めた。
振り向けない。
ついて来ていたらと思うと、振り向けない。
嫌な事に、帰宅するには新幹線の高架を潜り抜けねばならない。
充分に距離を取って、思い切って高架を目指した。
チラッと横目で見ると、まだそいつは同じ場所を飛んでいた。
ヒィィィィと悲鳴をあげながら。
おそらく、調べたら人身事故か何かが有ったに違いないだろうが、それが判ったところでどうしようも無い。
逆に、そいつと因果を結んでしまうかもしれない。
だから俺は、未だにそいつの正体を知らない。
今でも、たまにナトリウム灯が点滅している時がある。
そんな時は、耳からイヤフォンを外す。
背後から、ヒィィィィという音が近づいて来ても、すぐに解る為にだ。
心なしか、風を切るような音がする。
イヤフォンを外して、耳を澄ませた。
木枯らしに似た、ヒィィィィという音が聴こえた。
俺は左目の視力がやたらと良い。
(遠視なのだ。老眼かもしれない笑)
その目で見ても解らない。
何かの黒い物体という事は解るのだが、それが何か解らない。
遠くだし、暗いし、何よりもその『何か』が速すぎる。
が、一瞬だけ、そいつのスピードが落ちた。
やっと正体が判った。
それは、生首だった。
男か女かは解らない。
長い髪を後方になびかせ、口を大きく開けたまま、生首は再び速度を上げた。
ヒィィィィという音は、その口から出ている。
何かを探し回っているようだ。
このまま見つめているとヤバい、絶対的に不味い。
50m先に聞こえるとは思えないが、俺はなるべくゆっくりと静かに自転車を走らせ始めた。
振り向けない。
ついて来ていたらと思うと、振り向けない。
嫌な事に、帰宅するには新幹線の高架を潜り抜けねばならない。
充分に距離を取って、思い切って高架を目指した。
チラッと横目で見ると、まだそいつは同じ場所を飛んでいた。
ヒィィィィと悲鳴をあげながら。
おそらく、調べたら人身事故か何かが有ったに違いないだろうが、それが判ったところでどうしようも無い。
逆に、そいつと因果を結んでしまうかもしれない。
だから俺は、未だにそいつの正体を知らない。
今でも、たまにナトリウム灯が点滅している時がある。
そんな時は、耳からイヤフォンを外す。
背後から、ヒィィィィという音が近づいて来ても、すぐに解る為にだ。