ライブが始まった。
俺のバンドは、いわゆるファンクバンドだ。
ソウルフルなボーカルと印象に残るメロディー、それと俺のしゃべりが売りだ。
その夜も調子に乗ってしゃべる俺の視野に、とんでもない物が入った。

『なんだあれ…』

その女は、真っ白なワンピースを着ていた。
だが目立ったのはそのせいではない。
その女の持つ紙袋からは、人形らしき物が見えている。
顔立ちはよく判らなかった。長い髪の毛で隠れていたからだ。
何か異様な雰囲気を辺りに振りまいている。
俺は直感で判った。

麻理子だ。