「俺が小学生の頃です。同じクラスに花子ちゃんという
女の子が本当に居たんです」
ほとんど暗くなったトイレで多中の告白は続く。

「かなりね、イジメられてる子でね。俺、好きだったくせに
救えなかった」

樹林も縄谷も言葉が出ない。彼等は、こういうシリアスな場面に
慣れていないのだ。
何故かドギマギしている。

「そ、それでどうしたの、多中くん」

「花子ちゃんね、自殺したんす。だから、俺が居た学校では、
本当に花子ちゃんが出るって言われてました」

沈黙が三人を重く包み込んだ。
ピチョンと一つ、水滴が落ちる音がした。
思わず首筋を縮める縄谷をそっと押しのけ、
樹林は三番目の扉の前に立った。

「だったら尚の事、呼び出して供養しなければならん。
違うか、多中。それがお前の為にもなる」

樹林の言葉は、多中の胸を打った。

「隊長…そ、それほどまでに俺達のことを」
何も答えず、莞爾と微笑む樹林である。
その手が扉をノックした。

七へ