ありきたりのウェディングケーキは作りたくありません。
せっかくの記念日ですから、思い出に残るケーキを
作ってあげたかったのです。
それに、熊おじさんは、ウサギさんのお母さんがどれほど
苦労して娘を育てたか良く知っていました。

「うーん…だめだ、少し散歩に行こう」
おじさんは店を出て、近くの広場に向かいました。
当ても無く散歩しているうちに、何か良いヒントが
つかめるかもしれないと考えたのです。

森はすっかり春です。
そこいら中で皆、訪れた春を楽しんでいます。
おじさんは広場に座り、ぼんやりとそんな仲間達を
見つめていました。
ごろん、と横になります。
透明に澄んだ青空に桜の花びらが映えています。

「綺麗だなぁ…あぁ、そうか。そうだよ、これだ」

熊おじさんは慌てて飛び起きると、一目散に店に帰りました。
まずは抹茶を練りこんだスポンジケーキを焼き上げます。
そして、食用の桜を用意すると、それを練りこんだクリームで
デコレーションしました。
ケーキの上には、同じく桜を練りこんだウサギさんの飾りが
付いています。真っ白なウェディングドレスを着ています。
その隣には見るからに凛々しい新郎のウサギの飾りを並べました。
見るからに可愛らしく、そして美味しそうな春色のケーキが
出来上がりました。

おわりへ