「うぅん…ネットか何かで探せば似たようなのが見つかるかもしれない」

「あ、主人もそう考えたんです。時計で検索したんですが、
なかなか見つからないようです」

熊はもう一度、写真を見つめた。
「何故、針を取ってしまったんだろう…」

いつの間にか、店内にいる常連客全員が考え始めていた。

「単純に壊れただけじゃないの?」
そう言うのは春だ。
いかにも彼女らしい発言だ。
「鳴かぬなら、新しいのを買ってよダーリン」という姿勢を
貫いている。 ある意味、一流の水商売人だ。

「何か理由があると思う」
これは小林。
酔うと一人でシェークスピアを演じる、売れない劇団員である。
「ことばが役に立たないときには、純粋に真摯な沈黙がしばしば
人を説得するのだ」
などと、例によってシェークスピアの言葉を吐いている。

突然、ケロロが大声を出した。
「店長、立ち切れ線香だっ!」

「立ち切れ線香?あ、あぁそうか」

熊が大きな手で膝を打った。
不思議そうな顔つきの照美に、落語の内容を説明する。

八へ