食卓にはテリシアとマリア、魔法生物であるニコが居るだけだ。
父は長く戻っていなかった。
テリシアは微かに父の面影を覚えている。
今よりもっと幼い頃の記憶の片隅で、父は微笑んでいる。
この歳になってテリシアは、その時の父の微笑みに、
悲しみが隠されていることに気付いた。
その髪はテリシアと同じ、漆黒であった。
母が隣に居たことも覚えている。
空から絶えることなく、雪が降りつづけている。
丁度今頃の、雪の深い季節であった。
そして父はそれきり、未だに戻らない。
テリシアは幾度となく、父のことを母に尋ねた。
どんな魔法を使う人なのか、今どこにいるのか。
何よりも、名は何というのか。
だが、母はそのたび、哀しい顔をして黙り込んだ。
いつしかテリシアは聞くのを止めた。
母のそのような顔を見るのがたまらなく嫌だったのだ。
食事が終わり、暖かいハーブ茶を飲みながら暖炉の前で
くつろぐ。テリシアの前にある薄茶色の毛玉はニコだ。
ニコは、この地方固有の生物である。
魔法生物、と呼ばれるもの達の一つだ。
魔法生物は遠い昔、最初の大戦時に兵器として創造された。
大戦後、野に放たれた彼等は、その土地の動物と混ざり合い、
己達の仲間を増やしていった。
5へ
父は長く戻っていなかった。
テリシアは微かに父の面影を覚えている。
今よりもっと幼い頃の記憶の片隅で、父は微笑んでいる。
この歳になってテリシアは、その時の父の微笑みに、
悲しみが隠されていることに気付いた。
その髪はテリシアと同じ、漆黒であった。
母が隣に居たことも覚えている。
空から絶えることなく、雪が降りつづけている。
丁度今頃の、雪の深い季節であった。
そして父はそれきり、未だに戻らない。
テリシアは幾度となく、父のことを母に尋ねた。
どんな魔法を使う人なのか、今どこにいるのか。
何よりも、名は何というのか。
だが、母はそのたび、哀しい顔をして黙り込んだ。
いつしかテリシアは聞くのを止めた。
母のそのような顔を見るのがたまらなく嫌だったのだ。
食事が終わり、暖かいハーブ茶を飲みながら暖炉の前で
くつろぐ。テリシアの前にある薄茶色の毛玉はニコだ。
ニコは、この地方固有の生物である。
魔法生物、と呼ばれるもの達の一つだ。
魔法生物は遠い昔、最初の大戦時に兵器として創造された。
大戦後、野に放たれた彼等は、その土地の動物と混ざり合い、
己達の仲間を増やしていった。
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