故郷は、何一つ変わっていなかった。
駅前も寂れたままだ。
高校生の頃、学校に内緒でバイトした喫茶店。
帰り道、道草したコンビニ。
男性と話すのが苦手だった私が、初めてデートらしき時間を過ごした公園もそのままだ。
ああ、今気づいた。
高校生の私は、夏が大好きだった。
日なたの匂いも汗の匂いも好きだった。
花火、スイカ、氷イチゴ、制汗剤、蚊取り線香、そして何よりも潮の香り。
私はいつから夏が苦手になったのだろう。
父と母を亡くし、たった一人になって故郷を出てからか。
違う。
それでも私は夏を愛していた。
だからこそ、夏の香りがするあの人に惹かれたのだ。
判らないまま、以前住んでいた町に足を向けた。
海沿いの家で、父と母と私の三人は暮らしていた。
父は小さな時計屋を営んでいた。
大きな背中を丸め、いつも時計を修理していた。
寡黙な人だったが、時折とびっきりの笑顔を見せた。
滅多に怒らない人だった。
高校の入学祝に貰った時計を何処かに置き忘れて来た時も、寂しげな顔を見せただけであった。
それが矢鱈と胸に応えた。
駅前も寂れたままだ。
高校生の頃、学校に内緒でバイトした喫茶店。
帰り道、道草したコンビニ。
男性と話すのが苦手だった私が、初めてデートらしき時間を過ごした公園もそのままだ。
ああ、今気づいた。
高校生の私は、夏が大好きだった。
日なたの匂いも汗の匂いも好きだった。
花火、スイカ、氷イチゴ、制汗剤、蚊取り線香、そして何よりも潮の香り。
私はいつから夏が苦手になったのだろう。
父と母を亡くし、たった一人になって故郷を出てからか。
違う。
それでも私は夏を愛していた。
だからこそ、夏の香りがするあの人に惹かれたのだ。
判らないまま、以前住んでいた町に足を向けた。
海沿いの家で、父と母と私の三人は暮らしていた。
父は小さな時計屋を営んでいた。
大きな背中を丸め、いつも時計を修理していた。
寡黙な人だったが、時折とびっきりの笑顔を見せた。
滅多に怒らない人だった。
高校の入学祝に貰った時計を何処かに置き忘れて来た時も、寂しげな顔を見せただけであった。
それが矢鱈と胸に応えた。