そして僕は彼女を撮影し始めた。
病院側の許可も得て、何枚も何枚も撮った。

ファインダーの中の彼女は、いつも輝いていた。

僕の撮影した写真は、高い評価を得た。
写真展も多数の人達で溢れた。

彼女と二つ、約束した事がある。

彼女は、全てをさらけ出してくれと僕に頼んでいた。

だから、彼女自身が最も気に入っていた一枚を僕は写真展の最後のコーナーに飾った。

白いベッドに横たわり、副作用で毛の抜けた頭を剥き出しにし、それでもおどけた表情でガッツポーズを決めている。

そんな姿だ。

そして、その写真を見るたびに、彼女とのもう一つの約束が守れなくなるんだ。

「あたしがいなくなっても泣かないでね」
それがもう一つの約束だ。


ケビン・カーターは、少女を撮影した後、声をあげて泣いたそうだ。

だから利恵。

約束を破って悪いけど、少しだけ泣かせてください。




因みに、この『ハゲワシと少女』という写真は実際に存在します。
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