伊丹空港に到着し、料金を払う際に、青年は何故だか目を伏せた。
「ごめんなさい、ありがとうございました」
妙な挨拶だが、武田も笑って礼を言った。
何となく気になり、青年の行く先を目で追う。
人が集まっている。その中心にいるのが青年の言う『母親』であろうか。
武田は首をひねった。
それが老人であったからだ。
見送る者の中から、一人が売店に向かう。
武田は思い切って声をかけた。
「あの、すいません」
振り向いた男性は、相手がタクシーの運転手と知って不審気に口を開ける。
「何か?」
武田は、あの老人に見覚えがあるのだが、と言い訳を繕い正体を尋ねた。
「あぁ、あの方はあやめ動物園の飼育係さんですよ」
「あやめ動物園?」
「はい、ご存知ないですか?来週、閉園なんです。あの人は狸の飼育では日本一です」
「狸…」
「そう。何十匹も育てあげてねぇ…閉園が決まってから、狸の受け入れ先に頭下げまくって。園に残った最後の一匹も明日、九州に向かうはずです」
男に礼を言い、武田は車に戻った。
最終へ
「ごめんなさい、ありがとうございました」
妙な挨拶だが、武田も笑って礼を言った。
何となく気になり、青年の行く先を目で追う。
人が集まっている。その中心にいるのが青年の言う『母親』であろうか。
武田は首をひねった。
それが老人であったからだ。
見送る者の中から、一人が売店に向かう。
武田は思い切って声をかけた。
「あの、すいません」
振り向いた男性は、相手がタクシーの運転手と知って不審気に口を開ける。
「何か?」
武田は、あの老人に見覚えがあるのだが、と言い訳を繕い正体を尋ねた。
「あぁ、あの方はあやめ動物園の飼育係さんですよ」
「あやめ動物園?」
「はい、ご存知ないですか?来週、閉園なんです。あの人は狸の飼育では日本一です」
「狸…」
「そう。何十匹も育てあげてねぇ…閉園が決まってから、狸の受け入れ先に頭下げまくって。園に残った最後の一匹も明日、九州に向かうはずです」
男に礼を言い、武田は車に戻った。
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