「…どういう意味だ」

「ここにタッチパネルがありますね。ここに、必要事項を記入してから、
スタートボタンを押すと、その書類が出てきます」

「なんだそりゃ。ただのワープロじゃないか」
確かに、書いたことをそのまま書面で印刷するだけなら、只のプリンターだ。

だが喪黒は自信たっぷりに話を続けた。
「ほっほっほ。これの凄い所はですな、事実が発生するんですよ。
離婚証明を出せば、その瞬間に離婚します。
ここだけの話ですけどね、脱税にも使える…かもしれない」

それはそうだろう。
納付の領収書を印刷すれば、その事実が発生するのだから。

「信じられん」

「試してみましょうか。あなたの離婚届を印刷しましょう。
はい、ここに必要事項を記入して…オッケーです。
これで離婚できました。奥様の携帯に電話してみてください」

半信半疑で携帯をかける。

『はい』

「あ、亜樹か。俺だ」

『…俺という御名前は存知あげませんが』

「ふざけんなよ、俺だよ玉男だよ」

『分かってるわよ。うるさいわね。もう別人なんだから
電話かけてこないでよっ!』