徐々に呂后が
近づいてくる。

綾はきゃー姉さまに
気を送りながら
叫んだ。

「イブ!福!頑張って!」

「無駄。わらわの蛇共
は岩をも砕く。身動き
できるわけが無い。
さぁ、ゆっくりと
わらわの血と肉に
なるがよい。」

呂后が長い舌を出し、
先生の顔を舐めた。

その時だった。
ポツリ、ポツリ、と
そこかしこに光が
あらわれた。
闇に青く光っている。

「先生、待たせただよぅ
、申し訳無かったねぇ。」

その声の主は闇を
切り取ったような姿
であった。

猫軍団の軍団長、
クロであった。

「わたいが来たから
には勝手な真似は
させねぇよう。
ほれ、みんな。
先生を助けるだよぅ」

辺りに猫が溢れた。
その中に一匹、足を
引き摺った猫がいた。

アムであった。
あの後、アムは街を
走り回り、呪符を
探し続けた。

肉球が破れ、以前に
傷つけた足の怪我が
再び痛み始めた。
それでもアムは必死
で探し続けた。

ようやく二枚、見つけ
たが、いずれもが
アムにはとても届き
そうにない、高い
木の上にあった。

アムは上を目指した。
足に力が入らなくなり
、口を使った。
牙が一本抜けた。
二枚破るのが精一杯
だった。

だがそれにより、
街の猫達は一斉に
異変に気付いた。

「この子はよく
頑張っただぁよ。」
クロが優しくアムを
見つめる。

猫達は、呂后の髪の
一本づつに咬みついた。
呂后が悲鳴をあげる。
全ての髪に猫が
噛み付き、爪を立て
引き裂いていた。