「あ、やっぱりそうですか…これってあれかな、僕が他の女性に
評判が悪くなるように」
もごもごと御萩を食いあぐねながら津川君がぼやいた。

「生な事を言うと、もう一つ御萩食らわすよ。いや、勿体無いから
あげるのは止める。ま、そういう事だろうね。せいぜい頑張って
食べるとよい。臭い物には美味い物が多いと聞く」

津川君の話を書いたメモをひらひらと、
と見、こう見しているうち、先生の瞳がキラキラと輝きだした。
頃合や良し、と言った態である。
お茶を飲みかけている津川君に話しかけた。

「君、気をつけたがいいよ。彼女、君を殺すつもりだ」

津川君、せっかく口に入れたお茶を噴出してしまった。
悪い事にその先には立川先生が鎮座ましましている。
「あぁっ!先生、も、申し訳ない。」

「ふむ。玉露にしたのか、勿体無い。いや、構わんよ。
君からの末期の水と思えば、これもまた甘露」

続けて、またもや気になることを言った。
「いいかね、君、その御萩に青海苔が塗されているのが
わかるだろう。匂いを嗅いでみなさい。」

ぬぅ、と突き出された御萩を嗅いでみた津川君、
小首をかしげる。

四へ