「…困ったわ。うちの旦那、お腹が空くと
機嫌悪くなるの。」
そう呟きながら、いぶ
は立ち上がった。

「おっと、おとなしく
座ってろ!おばさん」

「…おばさん?」

「あ。」
「それは」
「言っちゃだめでつ」

「おばさんて言った?」

いぶの微笑みの質が変わった。

婿投げ衆にその気配が判るはずも無かった。

「にゃ吉ぃっ!」

「はいっ!」

「いつまでも遊んでないの。帰るわよ。」

「はぃぃっ!」

後ろの三人もいつの間にか縄を解いていた。

先頭を切って走るにゃ吉。胸ポケットから大量のボールペンを取り出し、次々に相手の喉笛を貫いていく。

どこから取り出したか分厚い本に呪を唱えるワンポンド。するとたちまち、紙が空気を切り裂いて飛ぶ。相手の顔面を被い、息絶えるまで離れない。

「危ないでつよ~」
とニコニコしながら、
ドーナツを飛ばす
かげまる。それは相手に触れると爆発する。
「セール中だからサービスしときまつ~」

周囲の喧騒を余所に、
まるでお茶席のような
足取りで相手に向かう
いぶ。着物の裾さえ乱さず、次々に相手の手首を折っていく。

全てが終わるまでに五分もかからなかった。

婿投げ衆は、これを最後に二度と大会には参加しなかった。