「先生。御言いつけの通り、白樺派の連中
に伝えてきました」
黒いコートに身を固めた太宰が進み出た。

「そうか。ご苦労。世間では単なる文学者の
集まりと勘違いしているだろうが、あいつらは
俺の最大の敵になるはずだ。」

「しかし、先生の刃の前には一溜りも
ありますまい。何なら、私がやってしまっても」

三島が鋭い目で太宰を睨みつけた。
「差し出がましいことを言うな」
冷酷なその視線に思わず、俯く。

「う、生まれてきてすいません」

「まぁいい。おや、噂をすれば影だ。
どうやら大御所達の御来場だな。
行け、太宰。そこまで言うなら、お前の
実力を見せてみろ」

「は、どうぞお任せあれ」

太宰は黒のフロックコートを翻し、三人を
出迎えに向かった。

「諸君、気をつけたまえ。どうやら太宰の
お出迎えだ」
志賀の警告に、有島が進み出た。

「ここは一つ、私が」

「大丈夫か?まぁゆるりと行きなされ」
武者小路の言葉に軽くうなずき、有島は
太宰の前に立ちふさがった。