「おのれらの血肉、喰らうには向かぬが、我が手下の良い訓練にはなろうて。
者共、かかれ。一匹たりと討ち損ずるな。きゃつらの躯、天海どのへの
土産といたす」
暗闇からワラワラと這い出てくる者達は、全て僧兵の姿をしている。
が、その眼光はうつろである。
魂の無い操り人形と化した僧兵達は、各々が長刀や槍を振り回して
妖しのもの達に討ちかかって来た。
その数、およそ百余り。

が、流石に妖しのもの達の中でも、精鋭を集めただけの事はあった。
河童は、その怪力で向かってくる僧兵を片っ端から投げ飛ばす。
骨が折れようが、頭が砕けようが知ったことではないとでも言うように、
次々に投げ、振り回し、地面に叩きつけていく。

輪入道が放つ煉獄の炎は、正確に僧兵達を炎に包んでいく。
悲鳴を上げる暇も無く、黒焦げに変じていく。

土蜘蛛の吐く糸は、僧兵達をがんじがらめにするだけでは無い。
そのまま着実に縊り殺していく。

いずれの顔にも悲壮な決意が漲っている。
先生と出会う前は、彼等も一端の妖怪として、
人を殺すことなど何とも思わぬ者ばかりであった。
が、先生の優しさに触れ、その暮らしが如何に間違っていたかを
思い知らされたのだ。
もう、何十年も人を殺めたことなどない。
けれど、ここで倒されるわけにはいかない。
敵わぬまでも、毘沙門天の手勢を少なくしておく必要がある。
そう彼等は決心したのだった。