「おじさん、それじゃ駄目だよ。貸してごらん」
突然話し掛けられ、源次は振り向いた。
見ると、一樹と同じ年頃の少女がいた。
真っ白なTシャツにジーンズ。飾り気の無い髪を後ろで束ねている。
少しそばかすが目立つが、整った顔立ちであった。
涼しげな一重の目が源次を見つめている。
少女は、屈託なく微笑むと右手を差し出した。
「あ、すまないね。どうもうまく前に飛ばないんだ」
その笑顔に促されるように源次はディスクを渡した。
テルが一瞬、低く唸る。
「大丈夫、あんたのご主人様のものを盗ったりしないよ。
賢い子ね。さ、投げるからね」
少女が投げたディスクは、腰の高さを流れるように飛んだ。
伏せの体勢から飛び起きたテルがそれを追う。
矢のような、という言葉以外、源次は思いつかなかった。
それほどまでにテルは速い。
あっという間に追いつき、失速する寸前のディスクを空中で咥えた。
「すっごーいっ!!」少女が感嘆の声をあげる。
周りの皆も拍手していた。
その中をテルが駆け戻ってくる。
テルは自慢気にディスクを源次に戻した。
「すまんが、もう一度投げてあげてくれるか」
「いいよ。凄い犬だね、何ていう名前?」
「テルだ。」
「よし、テル、いくよ。今度は少し遠くに投げるから」
少女が体を思い切りひねった。
ぐぐ、と溜めてから一瞬で力を放つ。
少女の手から放たれたディスクは、遥か彼方に飛んでいった。
先ほどと同じく、テルが矢になる。
そのままの勢いを殺さず跳躍し、より高い位置でキャッチした。
五へ
突然話し掛けられ、源次は振り向いた。
見ると、一樹と同じ年頃の少女がいた。
真っ白なTシャツにジーンズ。飾り気の無い髪を後ろで束ねている。
少しそばかすが目立つが、整った顔立ちであった。
涼しげな一重の目が源次を見つめている。
少女は、屈託なく微笑むと右手を差し出した。
「あ、すまないね。どうもうまく前に飛ばないんだ」
その笑顔に促されるように源次はディスクを渡した。
テルが一瞬、低く唸る。
「大丈夫、あんたのご主人様のものを盗ったりしないよ。
賢い子ね。さ、投げるからね」
少女が投げたディスクは、腰の高さを流れるように飛んだ。
伏せの体勢から飛び起きたテルがそれを追う。
矢のような、という言葉以外、源次は思いつかなかった。
それほどまでにテルは速い。
あっという間に追いつき、失速する寸前のディスクを空中で咥えた。
「すっごーいっ!!」少女が感嘆の声をあげる。
周りの皆も拍手していた。
その中をテルが駆け戻ってくる。
テルは自慢気にディスクを源次に戻した。
「すまんが、もう一度投げてあげてくれるか」
「いいよ。凄い犬だね、何ていう名前?」
「テルだ。」
「よし、テル、いくよ。今度は少し遠くに投げるから」
少女が体を思い切りひねった。
ぐぐ、と溜めてから一瞬で力を放つ。
少女の手から放たれたディスクは、遥か彼方に飛んでいった。
先ほどと同じく、テルが矢になる。
そのままの勢いを殺さず跳躍し、より高い位置でキャッチした。
五へ