「私も普通の女の子になりたかった。
でも無理。こいつが居る限り!」
沙耶加がガソリンを撒き始めた。

「おじさまは逃げて。真由加お姉さまの為にも。」

「君はどうするんだ」

沙耶加は、壮絶な笑い声をあげた。
「こいつを殺す。もう、この一族は滅びた方がいい。早く逃げて!」

よろめく足取りで歩き出す林田の足を何かが掴んだ。
肉だった。長の体から伸びてきた肉が林田の足を
掴んでいた。
「くそ、離せっ」

沙耶加の悲鳴も聞こえる。おそらく、彼女も捕まったのだろう。
林田は徐々に肉に引き寄せられていった。
爪を立てようとしても、肉の弾力がそれを阻む。

「どうしようもないのか」
絶望的に林田が叫ぶ。

「あきらめないで」
上の方から、真由加の声がした。

「今、助けてあげる」
見上げると、天井近くの横穴に真由加が居た。
大きな鍾乳石を持っている。
その尖った方を下に向け、真由加は飛び降りた。
体重をかけた鍾乳石が長の頭に突き刺さった。
そのまま、ずぶずぶとめりこんだ鍾乳石が、
地面に当たり硬い音を立てた。
長は一声だけ咆哮すると、永遠の命にようやく幕を下ろした。